群馬は、東京から一泊二日で性格の違う三つの温泉地とキャンプの夜を組み合わせられる数少ない地域です。この記事は体験記ではなく計画用のモデルコースです。時間割、移動のおおよその所要時間、予算の目安、キャンパーが戸惑いやすい入浴ルール、そしてよくある計画の失敗をまとめます。時間や料金は目安なので、必ず最新情報で確認してください。
ルートの全体像
ルートは 東京 → 伊香保 → 草津(キャンプ泊)→ 四万 → 東京。総距離は約400〜450km、運転は二日で合計6〜7時間ほどです。
- 伊香保温泉:石段街を中心にしたコンパクトな温泉街。鉄分を含む茶褐色の「黄金の湯」と透明な「白銀の湯」があります。関越道から近く、朝の立ち寄りに最適。
- 草津温泉:標高約1,200m、湯畑で知られる日本有数の温泉地。泉質は強い酸性(pH2前後)。キャンプ泊はここ。夏でも夜は涼しく、日帰り入浴施設がまとまっています。
- 四万温泉:昔ながらの街並みと、奥四万湖の青い湖面が印象的な静かな温泉地。帰り道の最後の立ち寄りに。
この順番にする理由は、伊香保が高速に最も近く、草津が最も時間を要しキャンプに向き、四万が関越道へ戻る途中にあるからです。四万の代わりに水上・宝川温泉を選ぶ案は後述します。
前提は車利用、5〜10月のグリーンシーズン。関東全体の情報は関東キャンプガイドをどうぞ。
1日目:朝は伊香保、午後は草津
土曜朝に都心を出る想定です。週末と山道ではナビの予測に2〜3割足して考えます。
- 7:00 出発:練馬ICから関越道へ。週末は8時を過ぎると下りが混み始めます。
- 8:45ごろ 渋川伊香保IC:伊香保までは上り坂で20〜30分ほど。
- 9:15〜11:00 伊香保:観光客が増える前に石段街を上り、伊香保神社、余裕があれば源泉方面へ。入浴は任意です。「石段の湯」や「伊香保露天風呂」で短く入る程度にし、メインは草津に取っておきます。営業時間や定休日は季節で変わります。
- 11:00〜12:00 早めの昼食
- 12:00〜13:45 草津へ移動:中之条・長野原方面経由で1時間半〜2時間ほど。食材と氷は麓で調達しましょう。山上は店の選択肢が減り、週末は草津中心部の駐車場も混みます。
- 14:00 キャンプ場チェックイン:13〜14時開始が多いですが、受付時間と最終到着時刻は予約時に確認を。候補はマップで探し、週末・連休は早めに予約します。
- 14:30〜16:00 設営:標高1,200mでは風を意識し、真夏でも夜の冷え込みに備えます。
- 16:30〜18:00 草津で入浴:観光客には「西の河原露天風呂」や「大滝乃湯」が定番。日帰り施設の多くは閉館30〜60分前が最終受付なので、夕食前に入るのが確実です。
- 18:30 キャンプ場で夕食:夜に出歩くつもりなら、焚き火よりガスバーナーの方が煙の匂いが残りません。
- 夕食後 夜の湯畑:歩ける距離か、飲酒していない場合のみ。少しでも飲んだら、数分でも運転しないこと。
2日目:朝の草津、午後の四万、帰路
- 6:00 起床・テントを乾かす:高地の朝露は多め。30分干すだけで撤収後が楽になります。
- 8:30〜9:30 撤収・チェックアウト:10〜11時が一般的です。
- 9:30〜10:30 朝の湯畑:熱乃湯の湯もみショー(有料、1日数回)もおすすめ。
- 10:30〜12:00 四万へ移動:中之条経由で1時間〜1時間半。
- 12:00〜13:30 昼食と散策:温泉街と、少し奥の奥四万湖へ。
- 13:30〜14:30 四万で入浴:小さな共同浴場や日帰り入浴を受け付ける宿があります。積善館が有名ですが、日帰り入浴の有無・時間・予約要否は変わるので事前確認を。
- 15:00 四万を出発:渋川伊香保ICまで約1時間。
- 18:00〜19:30 東京着:日曜・祝日の午後は関越道上りが混みがち。14時までに出るか、夕食後まで待つ方が渋滞を避けられます。
車がない場合
公共交通でも回れますが、荷物をすべて運ぶことになり、キャンプ場がバス停の近くにあることは少ないため難易度は上がります。
- 草津:上野から特急「草津・四万」で長野原草津口まで約2時間半、JRバスで草津温泉バスターミナルまで約25分。東京からの高速バスもあります。
- 伊香保:JR渋川駅からバスで約25分。
- 四万:JR中之条駅からバスで約40分。
本数が少ない路線もあるので、時刻表に合わせて計画を組みます。車なしなら、レンタル用品やバンガローのあるキャンプ場が現実的です。
予算の目安
二人で車一台の場合のおおまかな目安です。
- 高速料金:東京〜渋川伊香保の往復で約6,000〜8,000円(ETC割引や時間帯で変動)。正確な額はNEXCO東日本のルート検索で。
- 燃料代:400〜450kmで約5,000〜8,000円。
- レンタカー:2日間で約15,000〜30,000円(繁忙期や大型車は高め)。
- キャンプ場:1区画1泊約3,000〜7,000円+人数・車両料金がかかる場合も。
- 日帰り入浴:共同浴場なら数百円、大きな施設や旅館では1人1,000〜2,000円程度。
自家用車と自前の道具なら、食費を除いて二人で17,000〜35,000円程度が目安。レンタカーならその分を加えます。
キャンパーが知っておきたい入浴ルール
基本はキャンパーのための温泉マナーにまとめています。ここではこのルートで特に関係する点を。
- 入る前に体を洗う:シャワーのない共同浴場では、湯船の湯を桶で汲んで「かけ湯」を。キャンプ明けは髪の煙の匂いや手の煤を必ず落としてから。
- キャンプ着は車に置く:清潔な服に着替え、泥のついた靴や煙臭い上着は持ち込まない。タオルは販売・貸出がある施設も多いですが、共同浴場にはありません。
- タオルは湯に入れない:頭に載せるか縁に置く。長い髪はまとめる。水着は不可。
- タトゥー:施設ごとに対応が異なります。可、小さければシールで隠せば可、不可とさまざまなので、各施設の案内を確認。
- 草津の湯は強酸性:傷やあかぎれにしみ、目にも刺激があります。肌が敏感な人は上がり湯で流すことも。銀などの金属アクセサリーは変色するので外しましょう。
- 共同浴場は観光施設ではない:地元の人が管理する無料・寸志の湯もあります。外来可か地元専用かは表示に従い、短く静かに、きれいに使います。
- 営業時間を確認:日帰り入浴は受付終了が早く、混雑時は宿が日帰りを断ることも。その日唯一の入浴を20時半に予定しないこと。
- 飲酒後の入浴は避け、水分をとり、熱い湯では最初は短めに。
季節と道路
- 5〜10月:最も計画しやすい時期。真夏でも草津の夜は東京よりかなり冷えるので、3シーズンの寝具ガイドを参考に寝袋を選びます。
- 秋:紅葉は見事ですが、10月下旬〜11月の夜は氷点下近くになり、シーズン営業を終えるキャンプ場もあります。
- 冬(おおむね11〜4月):草津周辺はスタッドレスタイヤかチェーンが必要。四万や伊香保方面も雪の影響を受けます。
- 志賀草津高原ルート:長野県の志賀高原へ抜ける国道292号は冬期閉鎖され、例年11月中旬ごろから4月下旬ごろまで通れません。草津白根山周辺では火山活動に伴う駐停車禁止や夜間通行止めなどの規制が出たこともあります。このコースでは通りませんが、組み込むなら最新情報を確認。
- 火山と天気:気象庁で噴火警報と予報を確認し、雷雨時は開けた高所を避けます。
よくある計画の失敗
- ナビの所要時間をそのまま信じる(山道と週末は2〜3割増し)。
- キャンプ場の受付や日帰り入浴の最終受付に間に合わない。
- 共同浴場が誰でも入れると思い込む。
- 冬〜春に志賀草津ルートを組み込む(春先もまだ閉鎖中のことが多い)。
- 11月・4月にノーマルタイヤで行く。
- 標高1,200mの夜を甘く見る。
- キャンプで飲んでから車で温泉へ向かう。入浴が先、お酒は後。
- 予約しない。週末の草津周辺は早く埋まります。予約方法は有料キャンプ場の予約ガイドへ。
アレンジ:水上・宝川温泉
川沿いの景色と組み合わせたいなら、草津・四万の代わりに関越道水上ICから入るみなかみへ(東京から約2〜2.5時間)。利根川沿いにはキャンプ場が多く、宝川温泉の川沿いの大露天風呂は群馬を代表する名湯の一つです。混浴エリアや湯あみ着のルールは変更されてきたので、最新情報を確認してください。
まとめ
早く出発し、移動の重い区間を初日に、高地では暖かい寝具で、入浴は飲む前に。各日に有料の日帰り入浴を軸として確保しておけば計画は崩れにくくなります。
入浴時間、道路規制、キャンプ場の営業期間、バスの時刻は変わります。出発前に公式の観光サイトや運営者、道路情報で最新状況を確認してください。
